側臥位整体が優しい

側臥位というと難しいですが

横向きの施術をそういいます。

一般的に、マッサージやもみほぐしは

伏臥位(うつぶせ)の施術が多いでしょう。

ベッドにお顔を出す孔があったり

クッションで緩衝したり

それぞれ工夫があると思いますが

うつ伏せが苦手な方は多いものです。

 

私自身がかつて慢性首こりだったので

うつ伏せになったまま

横を向くということができませんでした。

 

また、長いマスク生活で

肺活量も総じて落ちていると思われ

息を苦しく感じることも

うつ伏せ施術のデメリットです。

 

横向きでの施術のメリットは

挙げれば数限りありませんが

大きくまとめると3つです。

 

① 陰陽両面を同時に施術できること

東洋医学的にいうと

身体の胸腹部は陰、肩背部は陽です。

下半身に関しては

内側が陰、外側が陽となります。

 

熱は陽に溜まりやすいですし

陰は冷えやすい部分です。

 

東洋医学は中庸を尊ぶので

陰や陽に傾きすぎないように

目盛りを真ん中に常に戻す

ようにすることが大事と考えます。

 

横向きでの施術は

例えば首では

前頸部、側頸部、後頸部すべてを

施術者は術野として視界に入れながら

どこが緊張しているのか

どこの流れが淀んでいるのかを

一目で見て取ることができます。

 

首がこっているという主訴であっても

首にだけ原因があるわけではありません。

頭、腕、指、腋下、肩甲骨、鎖骨、胸骨

色々な骨に付着している筋や結合組織

にある滞りをゆるめ流すことが必要なので

うつ伏せていただいたり

あお向けていただいたりして

施療を中断することなく

横向きでひとつながりの施術が

とても楽で理に適った施療なのです。

 

 

② 呼吸が楽であること

寝るときに人は一番楽な体位で

寝ているはずです。

仰向きか横向きで寝ている方が

多いでしょう。

いびきや無呼吸の抑制のためには

横向きが推奨されることは

ご存知だと思いますが、それは

一番呼吸が楽にできる体位だからです。

 

子どもはうつ伏せ寝も平気ですが

それは身体が柔らかいからです。

基本的に脊柱が硬く

椎骨が柔軟に動かない大人は

長い時間のうつぶせには

耐えられないと思います。

 

また長引くマスク生活で

ただでさえ浅い現代人の呼吸は

加速がかかって身体は常に

低酸素の状態にあると思われます。

 

生命活動は豊かな呼吸がなければ

最低限のことしか行われません。

 

ストレス過多で痛めつけられた身体の

老廃物をしっかりと流し

疲れた身体をゆっくりと癒すためには

しっかりと大きく息を吐き

新しい酸素を取り入れなければいけません。

 

横向きで施術をしていると

中盤から終盤にかけて

急に大きく呼吸を取り戻されること

がよくあります。

それは自己治癒力が働き始めたサインです。

 

 

過緊張で入り続けていた力が脱ける。

浅く早い呼吸が深く大きくなる。

 

 

側臥位はその変化に導きやすい姿勢です。

 

 

 

③ 会話がしやすいこと

横向きでの施術は会話が生まれやすいです。

「ああ、そこそこ!!!」

「ここもですよね」

「ああ、そこもそこも!!!」

といった楽しい会話の積み重ねが

よりよい施術をよぶといっても

過言ではありません。

 

ご自分のからだはご自分が一番わかっているはずですが

永年、ご自分のお身体からの声を

無視し続けていると

お身体からの声が聴こえなくなったり

お身体自身が声をあげなくなっている

ことがよくあります。

 

その場合、施術者はお身体からの声の

翻訳者の役割をします。

 

永らく続く腰の痛みは

膝の悪さをかばって

足が踏ん張ってくれているからです

 

生理前に必ず起こる頭痛は

骨盤の動きが悪くなっているからなので

股関節をよくほぐしましょう

 

などといった日頃の生活と

今お辛いその症状を結びつけ

セラピストと一緒になぞ解きをしながら

お身体が何を訴えようとしているかに

一緒に耳を傾けます

 

同時に、こころの中にしまっておいた

結ぼれをお話下さる方もいます。

身体が強張っているときは

心の中に悩みや不安、怒りといったものが

しまわれていることが多いものです

 

ゆるんできたときに

その感情も手放すことが

お身体を楽にする近道となることは

本当によくあります

 

ここでお話下さったことは

誰にも知られることなく

セラピストによって

大切に適切に処理されます。

 

どうぞ安心して

ご自分を開いてみてください。

側臥位は安心安全の中で

あなたを守る優しい姿勢です。